「染み抜きにはベンジンが便利」と聞いたことはありませんか?
昔から使われているアイテムですが、実はデリケートな服でも傷ませずに、シミだけを溶かし落とすことのできるすぐれものなんです。
今回はベンジンを使った染み抜きのやり方と使うときの注意点について説明します。
もくじ
ベンジンとは?
「ベンジン」とは、石油からつくられた有機溶剤とよばれる液体です。「ノルマルヘキサン」というガソリンにとても似ている成分でつくられ、無色透明で石油特有のにおいがあります。
ベンジンの成分や用途は?
ラベルにある注意書きの通り、石油由来なので引火しやすいことには注意が必要ですが、染み抜きはもちろんカイロやシール剥がしなど、昔から使われている身近な溶剤のひとつでもあります。
ベンジンで染み抜き|使っていい素材は?
ベンジンが染み抜きに使えるのは「衣類の繊維を傷めない」「油分をよく溶かす」という2つの性質があるから。それぞれ詳しくチェックしてみましょう。
デリケートな服でも使える
ベンジンは水とは異なりほうっておくとすぐに蒸発します。衣類の繊維に残らないので汚れを取り除いたあとすすぎ洗いをする必要がないのが最大のメリットです。
シルクのネクタイやウールのスーツなど、おうちでは洗濯できずふだんはクリーニングに出すようなデリケートな素材も染み抜きできます。
油性の汚れを溶かしだす
石油由来のベンジンは油を溶かす力が強く、シミになった油性汚れの染み抜きに活用できます。洗剤では取れにくいガンコなシミも溶かしてくれるんですよ。
ベンジンで染み抜き|落とせる汚れの種類は?
上で紹介したとおり、ベンジンで染み抜きができるのは「油を多く含む汚れ」です。服につく油汚れのなかでも、特にガンコにこびりつく次のようなシミに効果を発揮します。
化粧品の油
服につけてしまった口紅やファンデーションは洗剤を使っても落としにくい汚れの代表格。
ベッタリとついてしまった化粧品汚れでもベンジンで溶かせば簡単に元通りです。
皮脂による黄ばみ汚れ
シャツの脇についた黄ばみなど、皮脂汚れが酸化してできる汚れはベンジンを使えばキレイに落とせます。
子供の制服など洗いにくいアイテムでも手軽に染み抜きができます。
機械油
うっかり付いてしまった自転車チェーンのオイルなど、機械油はガンコなので漂白剤では落とせません。
しかし、この頑固な油汚れもベンジンなら跡形もなく落とすことができますよ。
ベンジンで染み抜き|手順と用意するものは?
- 必須
- ベンジン
- タオル
- 歯ブラシ
- あると便利
- 『キュキュット』などの食器用中性洗剤
ベンジンを使った染み抜きのやり方はいたって簡単で「シミの裏からベンジンで叩く」だけ。タオルを敷いて汚れを移すイメージです。
石油の強い臭いがするので、窓を開けて風を通しながらやってみてくださいね。
窓をあける
揮発しやすいので、吸い込まないように換気しておく。
色落ちテストをする
まずはベンジンとの相性を見るため、目立たないところにつけて5分ほど様子を見る。
シミの下にタオルを敷く
色落ちが起こらなければ、シミに直接タオルを当てて裏返す。
ベンジンで叩く
ベンジンをつけた歯ブラシでタオルに汚れを移すように軽く叩く。ムラを防ぐために広めにやるのがコツ。
乾かす
水ですすいだりはせずに、そのまま干してベンジンを乾かす。
ベンジンを使った染み抜きは最初のうちは色ムラができてしまうことも。まわりとなじませるように広めに叩いておくと目立たなくできます。
ベンジンが乾いても残ったシミは油ジミではなく水溶性の汚れかも。食器用の洗剤を使って部分洗いして仕上げればキレイになりますよ。
ベンジンで染み抜き|注意点は?
ベンジンは石油系の特殊な溶液なだけに染み抜きに使うときはちょっとだけ注意が必要です。最初のうちは特に、服の傷みはもちろん周りの状況をよく確認してからはじめてくださいね。
火気の近くで使わない
ベンジンは石油から作られたものなので燃え上がりやすいという性質があります。火を使ったアロマなどの近くでは行わないようにしましょう。また静電気を起こす家電を遠ざけておくと安心です。
換気する
ベンジンはかなり揮発性が高く、染み抜き後にほうっておくだけで蒸発してなくなります。蒸発したベンジンは空気中に漂うことになるので窓を開けて外に追い出しましょう。
色落ちテストをする
ベンジンがデリケートな素材にも使えるとは言え、水とは異なる特殊な液体なので色落ちテストは必須。
タオルなどにベンジンを含ませ、目立たない場所を叩きます。数分してベンジンが蒸発したあと、色が落ちるなどしていなければOKです。
ベンジンのおすすめ!通販で予備をストックしておこう
染み抜きに便利なベンジンですが、あまりなじみのないアイテムなのでどこで手に入るかもわかりにくいですね。
大型のドラッグストアなどであれば染み抜き用品のコーナーなどに置いてありますが、インターネット通販で取り寄せるのが便利です。
『アルプスベンヂン 小 100ml』(エステー)
衣類の染み抜き用のベンジンです。部分的な染み抜きなら、少量のベンジンでも十分。蒸発しやすく保管に気を使うので、その都度使い切れる量を用意するのがおすすめです。
余ったベンジンはシール跡の掃除に◎
ベンジンは染み抜きのほかにも、シール跡の掃除にも使えます。やり方は雑巾などに含ませてからこするだけ。みるみる汚れを溶かしてキレイにしてくれますよ。
ただ、ここでも素材を傷めることがないか、事前に確認することは忘れずに。
ベンジンの染み抜きを覚えればクリーニングいらず
ベンジンは使うのがむずかしそうなアイテムですが、扱いを一度覚えればガンコな油汚れを落としてくれる強い味方になってくれます。
使うときは火気や換気に十分注意し挑戦してみてくださいね。スーツなどのデリケートな服でもキレイにできるのでクリーニングの回数をぐっと減らせますよ。