妊娠などを機会に、、化学薬品を使わないお掃除(ナチュラルクリーニング)に興味が出てきた人も多いと思います。ナチュラルクリーニングで使われる代表的な素材に「重曹」がありますが、使ってみたくても具体的な使い方がわからない…という声もよく耳にします。
そこで今回は重曹でできるお掃除方法や場所別での使い方、使うときの注意点についてまるっとご紹介します。
そもそも重曹って何?
重曹は、食塩水や二酸化炭素などを原料につくられた物質で、別名「炭酸水素ナトリウム」と呼ばれます。
自然界に存在する成分でできているので、人の体や環境にはほとんど害がありません。
加熱すると二酸化炭素や水などに分解される性質があることから、お風呂の入浴剤の原料に使われたり、「ベーキングパウダー」の名前で料理のふくらし粉として使われたりする意外と身近なアイテムです。
今回掃除で使うのは「掃除用」や「工業用」と呼ばれる重曹。食用に比べて多少純度が低くキメが粗いものになります。パッケージに掃除にかかわる文言があればどれでも使えますよ。
重曹掃除にはどんな効果があるの?
食品や入浴剤に使われる重曹が掃除に使えるのにはいくつか理由があります。そこでここでは、掃除で使ったときの効果を重曹の特徴とあわせてご紹介します。
① アルカリ性の性質をもつ
一般的に、おうちのなかの汚れは「アルカリ性」か「酸性」のどちらかの性質をもちます。アルカリ性の汚れなら酸性の洗剤を、酸性の汚れならアルカリ性の洗剤を使って中和するのが掃除の基本ルール。
重曹にはアルカリ性の性質があるので、キッチンまわりの油汚れやリビングの手垢など、酸性の性質をもつ汚れに効きます。
② 研磨効果をもつ
重曹の粉末は水に溶けにくいので、粒が残って汚れをかき出す「研磨効果」があります。粉のまま重曹をふりかけてこすると粒が汚れを削り落とし、クレンザーと同じような働きをしてくれるんです。
③ 消臭効果をもつ
重曹は掃除だけではなく、消臭剤としても使えます。生ゴミなどは酸性の性質をもつ臭いなので、アルカリ性の重曹で中和して消臭できるというわけです。
重曹の掃除方法は3つ!基本の活用法とは?
重曹で掃除するときは「① 水に溶かす」「② ペーストにする」「③ 粉のまま使う」の3つの方法があります。それぞれどんな使い方なのか詳しく見てみましょう。
① 水に溶かす
重曹を水に溶かしてスプレーなどで使う方法です。3つの掃除法のなかで1番使い勝手がよく、どこでも簡単に使えますよ。
コップ1杯の水(約200ml)と重曹小さじ2杯(約10g)をスプレーボトルなどに入れてよく混ぜ合わせます。これでただの水がアルカリ性をもつ洗浄液にあっという間に早変わり。洗剤や消臭剤を使う感覚で手軽にシュッと吹きかけて使えます。
② ペーストにする
水に溶かしきらないで、ペーストの状態で使うのも便利です。アルカリ性と研磨効果の両方をうまいバランスで活かせる上、汚れとの密着度も高まるのが魅力。油汚れなどに塗って放置すると汚れが落ちやすくなりますよ。あとは粉と同じように雑巾やスポンジなどでこすればスルッと落とせます。
基本は「重曹と水を2:1の割合で混ぜたペースト」を使います。汚れによって、油のベタベタ汚れなら「重曹と液体石鹸を3:1に混ぜたフワフワペースト」、ガンコなこびりつきには「重曹と液体石鹸を4:1に混ぜたジャリジャリペースト」と配合を変えると効果的。
③ 粉のまま使う
研磨効果が1番活かせる方法で、特別な準備はいらず、重曹を粉のまま汚れにふりかけるだけです。
あとは雑巾やスポンジ、ラップなど、掃除場所にあわせた道具でこするだけなので気軽に使い始められます。三角コーナーの生ゴミなどにかければ消臭効果も発揮してくれますよ。
次からはおうちのどんな場所で使えるかをシーンごとにご紹介。気になる汚れがある場所からチェックしてみてくださいね。
場所別!重曹でのおすすめの掃除方法は?
基本的には重曹はおうちのなかのすべての掃除で使えます。特に得意なのが、油を含む汚れ。キッチンで出る油汚れやコゲ、リビングの手垢による黒ずみなどが向いていますよ。
それぞれ場所ごとの使い方を参考に、実践してみてくださいね。
①「キッチン」を掃除する場合
シンクまわりにこびりつくシミのような汚れは「重曹ペースト」でこすり落とすのがおすすめ。ジャリジャリする重曹が汚れをかき出し、しっかり取り除いてくれます。
また、コンロ周りや調理器具につく油汚れや焦げには、重曹を粉のまま使うのがおすすめ。
水を使わないことで重曹の力が最大限に発揮されます。換気扇フィルターの油汚れなど頑固汚れも、見違えるほどピカピカになる力を秘めているんです。
②「お風呂」を掃除する場合
お風呂は汗や皮脂といった体の汚れがつきやすいのですが、これらは酸性の性質をもつので重曹が効果的です。
お風呂の壁や床などには「重曹スプレー」を吹きつけるか、「粉」のままかけてスポンジでこすり落とせば洗剤を使ったのと同じくらいにキレイにできます。
湯を張った湯船に重曹を溶かし、そこに小物類をひたして一気にキレイにするのもおすすめです。
③「リビング」を掃除する場合
照明のスイッチやドアノブなどにつく手垢の汚れも重曹が効きます。「重曹スプレー」を吹きつけて雑巾で拭き取ればキレイになりますよ。
また、カーペットやソファなどの家具類の消臭や掃除にも重曹スプレーが活躍します。たっぷりふきかけて乾かせば、嫌な匂いなどもすっかり取り除けますよ。
④「玄関・下駄箱」を掃除する場合
玄関のタイルは重曹を「粉」のままふりかけてブラシなどでこするとキレイに汚れを落とせます。汚れが落ちたら重曹の粉をほうきで掃いて捨てればいいので簡単です。
重曹で掃除するときの注意点は?
基本的にどこでも使える重曹ですが、1つ注意点があります。それは、「アルミ」「木製品」「漆製品」「大理石」などの素材には使わないことです。
これらの素材に使うと、アルカリ性の性質が作用して変色などのトラブルを引き起こす可能性があります。
ワックスが塗られた木製品、たとえばフローリングの床などの場合は、ワックスを溶かしてしまうので使用は控えてください。
覚えておきたい
重曹と同じように掃除に使われる「セスキ炭酸ソーダ」って何?
売り場では重曹と並んで、「セスキ炭酸ソーダ」という商品を目にしたことはありませんか?
セスキ炭酸ソーダも重曹と同じアルカリ性の性質をもつ素材なので重曹と何が違うの?と思うかもしれませんが、実は重曹よりもアルカリ性の性質が強く、水に溶けやすいという性質があります。
そのため、重曹水を使うよりもセスキ炭酸ソーダを溶かしたセスキ炭酸ソーダ水を用意しておくと、キッチンなどの油汚れを効率的に落とせます。
セスキ炭酸ソーダも自然由来の成分で安全なので、重曹と使い分けてみてくださいね。
重曹は掃除以外に洗濯にも使える?
重曹の「アルカリ性」の性質を活かせば、掃除だけでなく洗濯にも応用できます。
使い方はシンプルで、洗濯石鹸を入れるタイミングで重曹も洗濯機に1カップほど投入するだけ。水だと溶けにくいので、ぬるま湯を使って溶かしながら投入するのがポイントです。
服についた皮脂汚れやニオイの消臭に効果があり、さらに、水がやわらかくマイルドになる効果もあって泡立ちがアップします。汚れ落ちがグッとよくなりますよ。
重曹を使って毎日の掃除をもっと手軽に!
重曹は家の中のどこでも使えるマルチな洗剤といえますね。ナチュラルクリーニングのもうひとつの代表選手「クエン酸」と組み合わせれば、あらゆる場所の汚れを落とすことができます。
体への害がないので安心して使えるのもうれしいところ。ぜひ普段の掃除に重曹を取り入れてみてはいかがでしょうか?
重曹掃除のまとめ
- 水に溶かしてスプレーとして使う
- ペーストにしてこびりついた汚れをこすり落とす
- 粉のままの重曹は頑固な油汚れに最適