掃除や洗濯に使える「過炭酸ナトリウム」というアイテムをご存知でしょうか?ガンコな汚れだってスルッと落とせる魔法のような粉なんですよ。
ただ、馴染みがないので「危なくないの?」「何に使える?」といった疑問もわいてきますよね。
そこで今回は「過炭酸ナトリウム」とはどういうものか、その性質や使い方についてくわしくご紹介します。
過炭酸ナトリウムとは?
過炭酸ナトリウムとは、漂白剤の一種である「酸素系漂白剤」の主成分として使われている白い粉末で、「過炭酸ナトリウム≒酸素系漂白剤」と考えてください。
名前だけ聞くとむずかしそうなイメージがありますが、最近話題の『オキシクリーン』や粉末タイプの『ワイドハイター』などの主成分でもあり、実はなじみのある物質です。
重曹を熱してできる「炭酸ナトリウム」と、消毒液の成分である「過酸化水素」を組み合わせてできているため、自然由来で環境にやさしく、体への害も少ないのが特徴です。
過炭酸ナトリウムのはたらきや特徴は?
過炭酸ナトリウムには、次の4つのはたらきや特徴があります。それぞれ順に見ていきましょう。
① 油の分解作用
過炭酸ナトリウムは水に溶かすとアルカリ性の性質をもち、油などの酸性汚れをスルスルと分解します。重曹やセスキ炭酸ソーダよりも強力な洗浄力が特徴です。
② 漂白作用
過炭酸ナトリウムは水に溶かすとプクプクと「酸素の泡」を発泡させます。この泡が汚れにくっついて浮かし取るはたらきをするため、漂白作用があります。
③ 除菌作用
アルカリ性を持つ上に漂白作用を備えているので、過炭酸ナトリウムは雑菌退治にもピッタリ。水回りの掃除をはじめ、小物や衣類などの洗濯など幅広く使えます。
④ 環境にやさしい
おうちの掃除に幅広く使える過炭酸ナトリウムは、環境にもやさしいという特徴もあります。時間がたつと自然界にもある炭酸ナトリウムという成分に変化するので、安心して活用できるんですよ。
過炭酸ナトリウムの使い方は?
過炭酸ナトリウムの成分はシンプルなので、掃除や洗濯などさまざまな使いみちがあります。
ただ、基本的な使い方はどれも同じで、40〜50℃のお湯に過炭酸ナトリウムを混ぜて使います。
お湯を使うことで過炭酸ナトリウムの反応がよくなり、酸素の泡がいっぱい出てきます。水だと粉末が溶けにくく、泡の力がうまく活かされないことがあるので注意しましょう。
この過炭酸ナトリウムを使った洗浄液は水回りの掃除に大活躍。大きく次の場所で使えますよ。
② 洗濯機
③ お風呂
次から具体的な活用法を順に見てみましょう。
過炭酸ナトリウムでキッチンの油汚れを掃除!
食べ物を扱うキッチンでも過炭酸ナトリウムが大活躍します。雑菌を退治できるので瞬く間にピカピカにできますよ。
油汚れ掃除
過炭酸ナトリウムは重曹やセスキ炭酸ソーダよりも強いアルカリ性をもっているので、油汚れの掃除にとても向いています。
コンロ周りの油汚れは「お湯2Lに過炭酸ナトリウム大さじ1杯を混ぜた洗浄液」で拭き掃除すればOK。
ステンレスシンクなどはひと拭きするだけで薄皮がはがれるようにもとのピカピカな状態に戻りますよ。
汚れがひどい場合は、同じ洗浄液にキッチンペーパーなどを浸し、そのキッチンペーパーを貼り付けて1時間ほど放置すればピカピカになります。
焦げ落とし
鍋やグリル、五徳など焦げつきはこすってもこすっても取れない汚れの代表格。過炭酸ナトリウムを使えば指でも落とせるくらいにふやけさせてくれます。
焦げついた物を鍋にまとめて水をいれる
五徳などの焦げがついた物を鍋に入れ、しっかり浸かるくらいの水を入れる。
過炭酸ナトリウムをいれて温める
大さじ1杯ほどの過炭酸ナトリウムを入れ、沸騰するまで温める。
冷めるまで待つ
軽く混ぜて、あとは冷めるまで放置する。泡がどんどん汚れを浮かせる。
食器と同じように洗う
最後にスポンジで焦げ付きをこすり落としたら完了。
熱を加えることで酸素の泡が焦げにはたらき、どんどんふやけてきます。鍋のなかもキレイになりますよ。
茶渋落とし
普通の食器洗いではなかなか取れない茶渋も、過炭酸ナトリウムのつけおき洗いで真っ白に戻せます。
シンクに栓をする
シンクの排水口に栓をする。先ほどの鍋に入れる方法でもOK。
お湯をためる
40〜50℃ほどのお湯をシンクにため、過炭酸ナトリウムを大さじ2杯ほど入れて混ぜる。
食器を入れ、40分ほど待つ
茶渋などの汚れが目立つ食器をまとめて浸し、放置する。
すすぐ
お湯が冷めたら栓を外し、最後にそれぞれをすすげば完了。
茶渋は焦げほどガンコにこびりついているわけではないので、そこまで熱を加える必要はありません。この方法ならシンクの掃除にもなるので一石二鳥ですよ。
過炭酸ナトリウムでお風呂の排水溝を掃除!
雑菌によるヌルヌル汚れが気になるお風呂も、過炭酸ナトリウムの除菌効果を活用したら簡単にキレイにできますよ。
椅子やおもちゃなど小物の掃除
椅子や洗面器、浴槽のフタ、子供のおもちゃなどなど、お風呂にはいろんな小物が置かれています。雑菌が繁殖してすぐにヌルヌルしてきますが一つひとつ掃除するのは大変。
過炭酸ナトリウムを使えば残り湯に100gほどの過炭酸ナトリウムを混ぜた浴槽に、小物をひと晩漬け込むだけでいっぺんにキレイにできます。あとは軽くすすいだら除菌完了。
排水溝のドロドロ退治
お風呂のイヤな汚れといえば、排水口のドロドロ。髪の毛などのつまりを取り除くだけだとキレイとはいえませんよね。
そんなときは100gほどの過炭酸ナトリウムを排水口にまんべんなくふりかけ、熱いお湯を注ぎ入れるだけ。酸素の泡が発生して汚れを浮かして流しやすくしてくれますよ。
もちろん、キッチンや洗面所の排水溝を掃除するにもピッタリです。
過炭酸ナトリウムで洗濯槽の掃除!
洋服の汚れを落とすだけでなく、洗濯機自体の汚れを落とすのにも過炭酸ナトリウムが使えます。「洗濯物が臭う…」「洗ったのに服に黒い汚れがついている…」といった場合は掃除のサイン。次の方法でキレイにしましょう。
高水位まで注水する
洗濯槽全体が浸るように、高水位まで注水する。残り湯を使ってもOK。
お湯でといた過炭酸ナトリウムをいれる
過炭酸ナトリウム100gほどを熱いお湯に溶き、洗濯機に入れる。
数分回してひと晩放置
少し回して過炭酸ナトリウムを全体になじませたら、ひと晩ほど放置する。
浮いたゴミを取る
朝になるとゴミが浮いている。ネットやいらないストッキングなどでそのゴミを取り除く。
1サイクル洗濯する
そのまま普段通り、洗濯機をまわしてキレイに洗濯槽内の水を流せば完了。
過炭酸ナトリウムはどこで手に入る?どんな商品があるの?
過炭酸ナトリウムはなかなかなじみがないので、どこでどう手に入れればいいのかピンときませんね。主に以下のような商品があるので参考にしてください。
基本的にはドラッグストアやネット通販などで手軽に手に入りますし、「酸素系漂白剤」と書かれたものなら、ほとんど過炭酸ナトリウムが主成分になっていると考えて間違いありませんよ。
『過炭酸ナトリウム 1kg』(ケーイーケー)
過炭酸ナトリウムの大容量パック。大袋1つあればいたる場所で使えるので、常備しておくと便利ですよ。
『酸素系漂白剤』(シャボン玉石けん)
ナチュラル洗剤を扱う『シャボン玉石鹸』からも過炭酸ナトリウムを主成分とする『酸素系漂白剤』が販売されています。緑のかわいらしいパッケージが目印です。
『オキシクリーン』(グラフィコ)
コストコに売られていたことから人気に火がついた『オキシクリーン』も過炭酸ナトリウムが主成分。とくに日本向けのこのモデルは、成分がシンプルなので使いやすいのが特徴です。
過炭酸ナトリウムの使い方の注意点は?
ガンコな汚れもスッキリと落とせる過炭酸ナトリウムですが、扱いに少し注意が必要な点もあります。次の2点をおさえて安全に使用してくださいね。
直接手で触れない
過炭酸ナトリウムはアルカリ性の性質をもっているので、直接手で触ると皮脂やたんぱく質が分解されて手荒れの原因になります。短い時間であってもゴム手袋をして肌を守りましょう。
デリケートな素材には使わない
過炭酸ナトリウムは机の拭き掃除や壁の掃除などでも使えますが、強い洗剤を使うことを想定されていない場所だとトラブルにつながることも。まずは目立たない場所で一度拭いて変色しないかテストするのが安心です。
覚えておきたい
過炭酸ナトリウムで掃除できない汚れは?
過炭酸ナトリウムはどんな汚れも落とす万能な洗剤ですが、なかには苦手とする汚れもあります。
それは「水垢」。蛇口やお風呂の鏡にできるくすんだ白っぽい汚れは、過炭酸ナトリウムでは分解できません。
逆にいえば、水垢以外の汚れはキレイにできるということでもあります。掃除で何を使えばいいか迷ったときには、まず過炭酸ナトリウムに頼ってみるといいですよ。
過炭酸ナトリウムは、掃除の他にも使い方がある!
過炭酸ナトリウムは洗濯用の漂白剤に配合されることもあるので、もちろん洗濯でも活躍します。
過炭酸ナトリウムは汚れに反応して分解、漂白してくれるので染み抜きにぴったりのアイテム。「汗ジミによる黄ばみ」「カレーなどのガンコな油汚れ」「ワインなどの色素汚れ」など、ほとんどのシミを取り除けますよ。
「2Lのお湯に対して、過炭酸ナトリウム大さじ1杯溶かした液に洋服を浸す」だけなので、とっても簡単。
15分ほど放置すれば元通りのキレイな状態に戻ります。色柄物でも色落ちせずに漂白できるので便利です。
過炭酸ナトリウムの使い方を覚えて掃除を楽に
過炭酸ナトリウムと名前だけ聞くとむずかしそうなイメージがありますが、ガンコな汚れも分解するすごい力を秘めています。
お湯に溶かすだけで「衣類のシミ」「油汚れ」「焦げ付き」「排水口のドロドロ」など幅広い汚れを落とせてとっても便利。
過炭酸ナトリウムを使いこなせばおうちがもっとピカピカになりますよ。