洗濯槽の裏にはカビがいっぱい潜んでいると耳にしたことありませんか?洗濯槽のカビ対策をしたほうがいいのか、不安を感じている方も多いと思います。
そこでコジカジ編集部では、洗濯槽のカビ対策について徹底調査!
日夜カビを研究している、千葉大学真菌医学研究センターの矢口貴志先生を取材し、洗濯槽とカビの関係について伺いました。あわせて、カビを取り除くおすすめの方法も教えてもらったので、ぜひ参考にしてくださいね。
もくじ
洗濯槽はカビがつきやすいの?
「洗濯機や洗濯槽にカビがつく」といわれても、中をのぞいてキレイに見えると「本当なのかな…?」と疑ってしまいますよね。実際のところどうなのでしょうか?
洗濯機は見えてる部分がキレイでも、目に見えない裏側にカビが繁殖している可能性があります。洗濯槽は湿気が多く、皮脂汚れや洗剤の溶け残りといった、カビのエサも多いので繁殖しやすい環境です。
ほうっておくと洗濯物にカビ汚れが付着したり、洗濯機自体から変な臭いが出たりと悪影響が考えられるので、定期的に掃除しましょう。
洗濯槽のカビ取りには専用クリーナーがおすすめ
洗濯槽の裏側は手の届かない場所なだけに直接ゴシゴシこすって掃除できません。そこで活躍するのが市販の「洗濯槽クリーナー」です。
主に「塩素系」か「非塩素系」と呼ばれる2種類のクリーナーがあり、主成分が違うので、性質や効果に違いもあります。
① 塩素系のクリーナーの特徴
塩素系クリーナーの代表は『洗濯槽カビキラー』です。
洗濯槽の裏側にこびりついたカビ汚れを分解し、そのまま洗い流す強力なクリーナーなので、作業中にカビがどれくらい取れたかは目では見ることができません。
● 主成分は塩素系漂白剤と同じ
● 強い漂白力・殺菌力がある
● カビ汚れを分解する
● 塩素の独特の臭いがする
● どんな洗濯機にも使える
塩素の独特の臭いがしたり、洋服を色落ちさせたりするなど取り扱いに少しだけ注意が必要です。
② 非塩素系クリーナーの特徴
「酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)」に代表されるのが非塩素系クリーナー。ほかにもいろいろな商品が販売されています。
非塩素系クリーナーの特徴はイヤな臭いがせず、安全に作業できること。酸素の泡でカビを「剥がし取る」のが特徴で、剥がれたカビが水面に浮いてくるため、効果が目に見えるのもメリットです。
● 主成分は過炭酸ナトリウム(過炭酸塩)
● 漂白力・殺菌力は塩素系に比べておだやか
● カビ汚れを剥がし取る
● 酸素なのでイヤな臭いはせず、安全
● ドラム式洗濯機には対応していないことも
矢口先生に、それぞれの効果について教えてもらいました。
塩素系のクリーナーの主成分は「次亜塩素酸」といい、強い漂白力・殺菌力があるので、カビ除去にもっとも効果的。これを使えば基本的には99%カビを取り除けると考えて大丈夫です。
酸素系漂白剤などの非塩素系漂白剤でもカビ除去に役立ちますが、塩素系に比べてカビを除去する効果は劣ります。
どちらのクリーナーも成分表示を確認して、その特性にあわせて使うのがおすすめです。
「塩素系は強力でラクに掃除できる」「酸素系は作用がおだやかで安全」という特徴で、好みで選べばよいと思います。次ではコジカジ編集部でそれぞれの洗濯槽クリーナーを使ってみました。使い方の手順を紹介します。
洗濯槽のカビ取り|①塩素系クリーナー
- 必須
- 『洗濯槽のカビキラー』などの洗濯槽クリーナー
- あると便利
- ゴム手袋
肌が弱い人は、ゴム手袋もあると安心です。次の手順でカビを取り除きましょう。
電源を入れて、クリーナーを投入する
電源を先に入れておかないと、そのまま排水されてしまうことがあるので注意。1本(または1袋)をまるっと洗濯槽に直接入れる。
高水位まで給水して運転する
槽全体をしっかりクリーナーに浸すため、一番水量の多いコースを選ぶ。「槽洗浄コース」があれば、それを選ぶ。
つけおきする
給水が終わって、数分撹拌(洗濯槽が回転)し終わったタイミングで一時停止ボタンを押し、30分〜3時間ほど放置。
すすぐ
時間がたったら再開し、そのまま放置してすすぎまで完了すればキレイに。もし汚れが取れていないと感じたら、もう1本クリーナーを開けて繰り返し使う。
基本はこれだけでOK。塩素系の成分が残っていると、衣類の色素を抜くことも。なので、空の状態で1サイクル洗濯機をまわしておくとクリーナーの成分をしっかり洗い流せて安心です。
洗濯槽のカビ取り|②非塩素系クリーナー
- 必須
- 酸素系漂白剤
- 目の細かい網
- あると便利
- ゴム手袋
ここでは酸素系漂白剤を使ってカビを取る方法をご紹介します。
酸素系漂白剤は、カビを「剥がし取る」のが特徴で、剥がれたカビは水面に浮いてきます。そのため、すくい取る網が必要です。
電源を入れて、お湯をためる
電源を入れ、水量が高水位になる設定をする。「槽洗浄」などのコースがある場合はそれでもOK。
酸素系漂白剤を投入する
漂白剤の量は水10Lに対して50〜100gほどを目安に入れる。
2〜3時間ほど放置する
たまったら「一時停止」ボタンを押す。最低でも2〜3時間、汚れがひどければ一晩は放置すること。
浮いてきた汚れをとる
用意した網を使って浮いてきた汚れをすくい取る。
槽洗浄を再開する
槽洗浄を再開すると洗濯槽が回転し、その勢いでふたたび汚れが浮き出てくる。一時停止して何度か汚れをすくい取ると、槽内に汚れが残らずキレイに仕上がる。
洗濯槽のカビ取り|注意点は?
洗濯槽のカビを落とすときにいくつか疑問もあると思います。その問題をコジカジ編集部で調べてみました。
疑問①|つけおきの時間は長い方がいい?
基本的にはつけおきの時間が長い方が、汚れ落ちもよくなります。ただし、つけすぎると洗濯槽を傷める可能性もあるので、クリーナーの取り扱いを確認しましょう。
疑問②|塩素系のクリーナーは危険じゃない?
塩素系のクリーナーは洗浄力が強いので少しだけ取り扱いに注意が必要。作業中はゴム手袋をしたり、色落ちしてもいい服装で作業すると安心です。「酸性」のものと混ざると体に害のあるガスを発生させるので、「酸性」クリーナーと連続で使うのは避けましょう。
疑問③|縦型洗濯機もドラム式洗濯機も使うクリーナーは同じ?
ほとんどのクリーナーは縦型でもドラム式でも使えます。ドラム式洗濯機でつけおきするときは洗剤が行き渡るように10分おきくらいに回転させるといいですよ。
ただ、ドラム式には使えないクリーナーもあるので、対応している洗濯機に間違いがないか確認しておきましょう。
疑問④|お湯を使った方が汚れ落ちがいい?
お湯を使った方が汚れ落ちがよさそうですが、これは使うクリーナーによります。水でもお湯でも効果が同じもの、お湯を使わないといけないもの、とさまざまなので確認が必須です。
ただし、熱湯を使うのはNG。急激に成分が変わる可能性があるので気をつけてくださいね。
洗濯槽のカビを予防するには?
洗濯槽をキレイにしたあとは、ふだんの生活からカビや雑菌が増えないような工夫も取り入れて予防に努めたいところ。
矢口先生に洗濯槽のカビ対策もうかがいました。
洗濯機のカビ対策は湿気を溜めない(=乾燥させる)ことが大切です。「洗濯後は必ずフタを開ける」「濡れたタオルを入れっぱなしにしない」などが効果的です。乾燥機能があれば、それを使うのも効果があります。
あとは、カビの栄養となる「汚れを残さない」のもポイント。「汚れた服を入れっぱなしにしない」よう気をつけてください。
洗濯槽のカビ対策で洗濯物の仕上がりがよくなる
洗濯槽は見えない場所なので掃除がつい忘れがちになる場所です。ポイントは「汚れが広がる前にカビ退治する」こと。
1〜2ヶ月に1回くらいのペースで洗濯槽が掃除できれば常にキレイな状態をキープできますよ。