漆器の手入れ方法｜洗い方と注意点を覚えて大切に使い続けよう

漆器を使ってみたいけど、手入れが大変そうだしな...と考えている人も多いのではないでしょうか？

伝統的な和食器なのでそういうイメージが有るのかもしれません。ただ、実際には他の食器と比べて特別手入れが難しいわけではありません。

正しい手入れ方法を知っておけば、漆器を長く愛用できますよ。手入れ方法や注意点など詳しく説明します。

漆器ってどんな食器？手入れは必要なの？

漆器は、木でできた器を漆（うるし）でコーティングして作られます。ウルシの木から取った樹液が原料で、漆を塗った器は耐久性・耐水性が高まり、防腐性などもあるため、古くから器のコーティング剤として活用されてきました。

漆でできた塗膜は丈夫なので、普通に料理で盛り付けて他の食器と同じように手入れしていれば問題はありません。ただ、自然由来の素材であり、電子レンジや食洗機には使えないなど漆器ならではの注意点があることも事実です。

そこで、漆器の風合いを損ねず、長く愛用するために正しい手入れ方法を紹介するのでぜひ参考にしてください。

漆器は、普通の食器用洗剤とスポンジで洗って問題ありません。陶器に比べるとやわらかいので、スポンジに洗剤をつけて軽く泡だて、やさしく洗いましょう。

汚れが落ちにくいときでもゴシゴシ力を入れて洗うのは厳禁。スポンジの固い面やタワシなども使わないでください。

漆は汚れがこびりつきにくい素材なので、落ちない汚れがあったら10分程度水に浸してみてください。その後、スポンジでやさしくこすればほとんどの汚れはスルッと落ちますよ。ただし、水に浸しすぎると素材を傷めてしまうので、10分以上は放置しないこと。

洗い終わったら、濡れたままで放置せず、乾いた布で水気を拭き取ってください。漆器は湿気に弱く、素材が傷んでしまうからです。陶器などとは別で、自然乾燥を待たずにやさしく拭いて保管しましょう。

漆器は「やさしく洗って、水気を拭き取る」ことに気をつけるくらいで、他の食器の手入れとほとんど変わりありませんね。漆器だからといって構えすぎず、気軽に使ってあげてくださいね。

漆器を手入れするときに、他の食器よりも気をつけて扱ったほうがよい場面もあります。漆器を長持ちさせるためにも次のポイントはぜひ覚えておいてください。

鉄製の食器や、ナイフ・フォークのように尖ったものなどがぶつからないように注意しましょう。固いものがあたると漆器の表面が欠けるなどトラブルにつながりやすいので、それぞれ別々に洗って、重ねないようにしてください。

食洗機で使われる洗剤は漆器への刺激が強く、乾燥させるための熱風も劣化や変色を引き起こします。一度劣化してしまうと元には戻せなくなるので、食洗機でも使える食器とは分けて洗うように心がけてください。

漆器は紫外線に弱く、直射日光に当てると劣化が進みます。洗った漆器を早く乾燥させようと日光に当てたくなるかもしれませんが、水気は拭き取った上で日の当たらない風通しのよい場所に保管しましょう。

漆器は使わずに放置していると、乾燥しすぎて劣化しやすくなります。漆器は適度に使われているほうが長持ちするので、食器棚の奥にしまい込まないでくださいね。

漆器を普段遣いするときに「なにか気をつけることはあるの？」と思うかもしれませんが、基本的に普通の料理を盛り付ける分には注意すべきことはありません。

しいてあげるとすれば、100度を超える料理を盛り付けないことです。100度を超えたものを直接入れると漆器が変色することがあります。油を熱したものを直接漆に盛り付けるような場面はほぼないと思いますが、念のため気をつけてください。

また、漆器にもりつけた状態で電子レンジにかけたり、冷蔵庫に保管したりするのはやめてください。漆器は素材が木でできているので電子レンジにかけるとひび割れなどを起こす恐れがあるからです。

ちなみに漆器に盛り付けたまま冷蔵庫で冷やしてもすぐ劣化するようなことはありませんが、冷蔵庫内は乾燥しているため漆器を入れてく場所として不向きです。冷蔵庫に入れるときは漆器ではなく、別の食器に移し替えることをおすすめします。

漆器は扱いが難しいものと思っていたかもしれませんが、基本的には他の食器と同じように扱っても問題ないことがわかっていただけたのではないでしょうか。

たしかに陶器でできた食器に比べると少しデリケートに扱う場面もありますが、大切にしたいものであれば、それほど難しいことではありませんよね。

漆器は使うほどになじんでいくので、その変化を楽しむこともできます。ぜひ正しい手入れ方法を覚えて、長く愛用してあげてくださいね。