洗剤に使われている「界面活性剤」。見聞きしたことはあっても、どんな役割をもっているのか知らない人が多いのではないでしょうか。
どんな洗剤に入っていて、界面活性剤があるとどんな効果があるのかなど、気になりますよね。
そこで今回は、界面活性剤とはどんなものか、その役割や効果、どんな洗剤に入っているのかについて説明します。
界面活性剤とは?どんな作用がある?
界面活性剤とは、「本来は混ざり合わないもの同士を混ざるようにする性質をもつ物質」の総称です。
たとえば、水に油を垂らしたときのことを想像してみてください。水の中に油が浮きますよね。かき混ぜても油は水に溶けることなく油として浮いていますね。このように本来は混ざらないもの同士には、互いにくっつかないように境目ができるんです。
しかし、界面活性剤と呼ばれる物質は「水になじむ性質」と「油になじむ性質」の2つの特徴を兼ね備えていて、これが油と水に作用することで互いに混じり合うようにしてくれます。
界面活性剤入りの洗剤は、食器や衣類についた油汚れに作用して水でも洗い流せるようにしてくれるんです。
界面活性剤には「自然系」と「人工的」の2種類がある
「界面活性剤」と一口にいっても、実は大きく2種類に分けられます。
ひとつが自然由来のもので主に「石鹸」に含まれる界面活性剤で、古くから使われています。もう一つが人工的に作られた合成界面活性剤です。
石鹸は動植物の油脂をアルカリ性の物質で煮ることでつくられており、天然の界面活性剤です。自然で分解されるので人体や環境にもやさしいとされています。一方、合成界面活性剤はさまざまなものをかけあわせて作られています。合成界面活性剤のなかには環境や人体によくないものもありましたが、最近では環境に配慮したものが増えているのでそこまで気にする必要はなくなっています。
今でも環境や人体に影響を及ぼす可能性のある界面活性剤が使われていることもありますが、その場合は「界面活性剤」のあとにカッコ書きで成分名と含有量が記載されています。界面活性剤の成分名や含有量が記載されているときは購入する前に調べてみてください。
界面活性剤入りの洗剤で汚れが落ちるのはなぜ?どんな作用がある?
界面活性剤で汚れを落とせるのは、3つの特殊な働きがあるからなんです。その3つの働きについて詳しく説明します。
作用① 表面張力を弱める
水は、水の分子同士が引き合う力が強いので、コップのフチギリギリまで入れると表面張力が起きます。界面活性剤はこの表面張力を弱める作用があり、表面張力が起こらずに物が濡れやすくなります。
たとえばウールのセーターなどを濡らしても水滴になって濡れにくいのは表面張力の影響ですが、界面活性剤を使うとウールなどもすぐに水が浸透して濡れやすくなるんですよ。
作用② 水と油を混じり合わせる
水と油は混ざり合わない性質をもっています。しかし、界面活性剤が水と油それぞれに浸透して、境目を溶かして混ざり合うことを可能にします。この作用は乳化作用と呼ばれますが、そもそも牛乳が水と脂質を混じり合わせてできていることに由来します。
作用③ まんべんなく溶ける
水に粉末を入れると、粉末は塊をつくり、しっかり混ぜないと溶け合いません。しかし、界面活性剤が入ると粉末などが勝手にバラバラになり水と混じり合います。このようにまんべんなく溶けるように促すことを分散作用といい、界面活性剤がもつ特徴の一つです。
掃除や洗濯をするときに、これらの作用が働いて汚れを引き剥がしてくれます。ただ水で洗っただけでは落ちない汚れを水となじむように変え、スルッと落としてくれるんですね。
界面活性剤が配合されている洗剤にはどんなものがある?
界面活性剤は「汚れ」を落とすときに効果を発揮するため、さまざまな洗剤で使われています。
おうちのなかで使われる洗剤のなかでも特に界面活性剤が多く含まれているのが、洗濯用洗剤です。次に食器用の洗剤で、ついで室内の掃除に使う洗剤などが続きます。界面活性剤は特に落ちにくい油汚れに効果を発揮するため、皮脂汚れがつく衣類の洗濯、食べ物の油汚れがつく食器などを洗うために多く使われているんですね。
そのほか、体を洗うボディソープやハンドソープ、シャンプー、リンス、歯磨き粉など汚れを落とすものにはたいてい界面活性剤が配合されています。
界面活性剤が入った洗剤を上手に活用しよう
「界面活性剤」と聞くとなんだかよくわからず不安を感じるかもしれませんが、要するに汚れを落とす力をもつものだと覚えておいてください。体や手を洗うのに使う石鹸にも含まれているものなので、心配する必要はありません。
界面活性剤は掃除や洗濯、日々の暮らしの中で欠かせないものであり、上手に使いこなすことが家事を上手にこなすことにもつながります。界面活性剤の役割を知り、上手に使いこなしてくださいね。