土鍋は、鍋料理だけではなく、炊飯や湯豆腐などさまざまな料理で使えるスタメン調理道具ですよね。最近では、家族用サイズだけではなく、一人用のミニ土鍋も人気です。

ところでこの土鍋、使い始めに「目止め」という手入れ作業が必要です。ご存知でしたか?

聞きなれないかもしれませんが、土鍋を長く愛用するには不可欠な作業です。今回は土鍋の目止めのやり方をくわしく紹介します。難しいプロセスではないので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

どうして土鍋の使い始めには「目止め」が必要なの?

土鍋 焦げ 落とし方

土鍋はその名の通り、土でできた鍋です。そのため、土鍋の表面には目に見えない無数の小さい穴があいています。この穴を目(め)と呼びます。

また、土鍋は水漏れしにくくするために釉薬(ゆうやく)という透明な液体で膜をはって仕上げられています。しかし、火にかけると土が膨張して、釉薬に貫入(かんにゅう)と呼ばれる小さなひび割れが起きます。

この目と呼ばれる無数の穴や貫入に、食材や汁などが入り込むと変色やシミを引き起こしたり、カビを引き起こしてしまうとされています。

そこで、この目や貫入をあらかじめふさいでおくための作業が「目止め」です。凸凹した部分に汚れが入り込まないようにコーティングするイメージですね。

ちなみに、一般的な土鍋は使い始めに目止めを行いますが、土の目が粗い種類の土鍋は使い始めだけでなく、定期的に目止めをする必要があります。

土鍋を目止めする方法は4種類ある

お米 ご飯 研ぎ方 炊き方

では、土鍋を目止めする方法を見ていきましょう。やり方はいくつかありますが、今回は代表的な4つのやり方を紹介します。

土鍋の種類によっては扱い方が違うので、念のため取扱説明書を確認することをおすすめします。専門店で購入した場合は、お店で目止めのやり方を聞いておくと安心です。

土鍋を目止めするための準備

目止めするための準備として、まずはしっかりと土鍋を水洗いしましょう。汚れを落としたあと、しっかりと乾かして水気を切っておきます。

これで準備は完了。あとは土鍋にあわせた道具を使って目止めをします。

① お粥を炊いて土鍋を目止めする

一番ポピュラーな方法で、お米の成分で目止めをします。土鍋でお粥を作るイメージです。

鍋の八分目まで湯を入れる

水だと沸かすのに時間がかかるので、最初からお湯を使ったほうが早い。

水の5分の1の量を目安にご飯を入れる

夕食に残ったごはんを入れてもOK。ほぐしておかゆ状にする。

ふたをせず弱火で1時間ほど煮る

吹きこぼれないように、時々かきまぜる。

火を消して放置する

1時間以上は放置してしっかりと熱を冷ます。

中身を空けて水洗いする

食器と同じように洗ってしっかりと乾かせば完了。

残ったお粥は食べても問題ありません。

② お米の研ぎ汁を使って土鍋を目止めする

研ぎ汁を使うのでご飯を無駄にすることなくできます。ただし、研ぎ汁はお粥をつくるときより粘り気が少ないので、粗土でできた土鍋の目止めには不向きです。

鍋の八分目まで米の研ぎ汁を入れる

お米を炊く準備をしたときの研ぎ汁をそのまま使えばOK。

蓋をせず弱火で1時間ほど煮る

ふきこぼれないように注意して沸かす。

放置して熱を冷ます

1時間以上は放置しておく。

中身を空けて水洗いする

食器と同じように洗ってしっかりと乾かせば完了。

③ 片栗粉を使って土鍋を目止めする

片栗粉はデンプン質の細かな粉なので、熱を加えることで粘り気がしっかり出ます。粘り気も出やすく、どの鍋にも使えるのでおすすめです。

鍋の八分目までお湯を入れる

水だと沸かすのに時間がかかるので、最初からお湯を使ったほうが早い。

片栗粉をお湯の10%を目安にいれる

片栗粉が溶け残らないようにしっかりとかきまぜる。

蓋をせず弱火で30分〜1時間ほど煮る

ふきこぼれそうになったら差し水をしてもOK。

放置して熱を冷ます

1時間以上は放置しておく。

中身を空けて水洗いする

食器と同じように洗ってしっかりと乾かせば完了。

④ 小麦粉を使って土鍋を目止めする

片栗粉がない場合は小麦粉でも代用可能。ただし粘り気が足りないので、粗土でできた土鍋は不向きです。

鍋の八分目までお湯を入れる

水だと沸かすのに時間がかかるので、最初からお湯を使ったほうが早い。

小麦粉をお湯の10%を目安に入れる

小麦粉が溶け残らないようにしっかりとかきまぜる。

蓋をせず弱火で30分〜1時間ほど煮る

ふきこぼれそうになったら差し水をしてもOK。

放置して熱を冷ます

1時間以上は放置しておく。

中身を空けて水洗いする

食器と同じように洗ってしっかりと乾かせば完了。

土鍋の目止めを失敗しないために注意すべき4つのこと

鍋の焦げ

土鍋を目止めするときは、次の4つに注意してください。

① 完全に乾かしてから始める

土鍋は表面が乾いたように見えても、中が乾いていないことが多々あります。乾かすときは、陽のあたる場所においたり、蓋を外して鍋本体を裏返し、しっかり乾かしてください。ちなみに土鍋は、急激な温度変化に弱く、水が鍋底についたまま強火にかけると、割れてしまうこともあるので注意してください。

② 必ず弱火で沸騰させる

中火〜強火にしてしまうと、すぐに沸騰しますが、目の中まででんぷん質が染み込む時間が足りず、目止めの効果が弱まります。弱火でぐつぐつ煮るイメージでやりましょう。

③ ごはんや粉の量をけちらない

水の量が多いと粘り気が少なくなり、目止めの効果が半減します。お米や片栗粉の量は多めに入れるようにしましょう。

④ 1時間以上冷ます

熱をしっかりと冷ますことで目止めの効果がアップします。沸騰し終えたからとすぐに洗わず、冷ます時間をしっかりと確保してください。

目止めが必要ない土鍋ってあるの?

どんな土鍋でも目止めをしたほうが長く使えるようになります。ただ、フライパンなどのようにセラミック加工などをして、あらかじめ表面がコーティングされている土鍋などもでてきているので、その場合は目止めをする必要はありません。

次のような土鍋は目止めが必要ないタイプです。

『セラミック加工IH土鍋 菊花瑠璃釉薬 8号』

見た目は土鍋そのものですが、IHにも使える土鍋。蓋の菊花模様が、昔ながらの和風です。

『長谷園 伊賀土鍋 キャセロールマイン(黒)』

老舗陶器屋の長谷園の小ぶりな土鍋。電子レンジにも対応できるキャセロール型。小さいためオーブンに入れて使用することも可能です。

土鍋の目止めにチャレンジ!失敗しても大丈夫

土鍋は、普通の鍋と違い、使い始めに手間がかかりますね。でも、手間がかかるということは、手入れを行うことで自分なりの味が出てくるともいえます。

また、目止めは失敗してもなんども繰り返せるので、気楽にチャレンジしてみてください。多少ひびであっても目止めを繰り返せば使い続けられます。定期的に目止めをして自分なりの土鍋に育ててあげましょう。