家事を短い時間で終わらせられたら…。そう思っても、どうしたらいいのかわからずに諦めてしまっていませんか?
コジカジ編集部は、家事を効率化する「知的家事」を実践している、知的家事プロデューサーの本間朝子さんに相談してみました。
「もともと家事が苦手だった」と語る本間さんだからこその、取り入れやすい時短アイデアをたくさん教えてくださいました。
前編・後編の2回にわたってお届けするので、家事の時短アイデアをマスターしてくださいね。
家事を時短できる「知的家事」とは?
本間さんが考案した「知的家事」とは、家事を効率よくして作業をラクにするメソッドのこと。家事が苦手で仕事との両立がうまくいかず悩んでいた本間さんが、試行錯誤の結果あみ出した方法論です。
本間さんは家事と仕事の両立に悩んでいたとき、「工場では動線を短くしたり、使う道具を効率よく配置したりすることで生産性を上げている」と書かれたビジネス書を読み、これを応用すれば家事を効率的にできるかもとひらめきました。
実際に家事の動線を短くして、道具の置き場所も変えることで家事の効率が上がっていったそうです。
私がこの仕事を始めた10年ほど前は、「家事をラクにしたい」と大きな声ではいいにくい時代でした。家事をラクにしたがるのは「なまけ者」とか「だらしがない」と思われる時代だったんです。
私は、家事を効率化するのは、手抜きではなく、知的なことなんだと、世の中の意識を変えていきたいと思いました。
家事をラクにすることが「知的なこと」と定着すれば、自信をもって時短に取り組めるはずと思って、「知的家事」という言葉を使うようになりました。
家事の時短には環境整備が大事
本間さんの提案する知的家事では、家事がやりやすい環境作りを重視しています。
次の5つの視点で、普段の家事を見直してみましょう。
● 道具を使いやすく配置する
● 便利な道具を取り入れる
● 自分以外の人でもできる仕組みにする
● 家事自体を省く
次からは、5つの視点を順番にくわしく見ていきましょう。
生活動線にからめて家事をする
1つ目は、動線にあわせて家事をするという方法です。
たとえば床掃除。いつもリビングに置いているフロアワイパーを寝る前に枕元に持っていき、朝起きたらフロアワイパーを持って廊下を拭きながら洗面所まで歩き、顔を洗います。それから洗面所の床とリビングを拭き、ワイパーを元の位置に戻して床掃除は終わりです。
普段の自分の動きのなかに家事を組み合わせることで、時間を有効利用しながら家事ができます。
道具を使いやすく配置する
家事をするときはなんらかの道具を使いますよね。よく使う道具ほど出し入れしやすい場所に置いてみましょう。
たとえば本間さんは、ゴミ箱の近くにハサミを置いています。こうしておけば、郵便物などを開封するためにわざわざハサミを取りに行く必要もなく、中身を見たらすぐに捨てられます。
「道具をいちいち取りに動いている」と思う場所があったら使いやすいところに移動してみましょう。それを繰り返すことで、より効率的に家事ができるようになります。
便利な道具を取り入れる
家事の作業をラクにしたいときは、便利グッズなどが活用できないかも考えてみましょう。
たとえば、食洗機やお掃除ロボットのような便利な家電は、自動で家事を終わらせてくれますし、優秀な調理グッズは料理を、ブラシ類は掃除をラクにしてくれます。
本間さんの場合は、掃除がラクになる洗剤を積極的に活用しているそうです。洗剤を吹きかけるだけでこすり洗いが必要ないものなどを使えば、わざわざ掃除の時間を取る必要がなくなります。
自分以外の人でもできる仕組みにする
家事は、家族みんなで取り組めば早く終わります。そこで、誰でもできる環境を作ってみましょう。
たとえば、洗濯物を分類できるカゴを設置してみてはどうでしょうか?本間さんは「乾燥機にかけられるもの用」「かけられないもの用」「おしゃれ着用」と3つのカゴを置き、家族が自分で洗濯物を分けられるような仕組みにしました。
自分だけで家事を抱え込まず、家族が何気なく協力できるようにしておけば、面倒な作業が減りますよ。
家事自体を省く
家事はつい頑張ってしまいがち。なかにはやらなくてもいいことまでやっていることも多いので、思い切って家事をやらないと決めるのも大切です。
たとえば、「洗濯物をたたむ」のをやめてみてはどうでしょうか?タオルなどはどんどん使っていくものなので、キレイにたたむ必要はありません。2つ折りや3つ折りにするだけにすれば、たたむ時間を短縮できますよ。
家事を「面倒」と感じたときが時短ポイント
家事を効率化するときのポイントはわかりましたが、それをどこで実践すればいいかがわかりませんよね。
本間さんに聞いてみると、家事をしているときに「面倒だと感じる部分」が効率化するポイントだと教えてくれました。
時短したいと思ったら、面倒だな、ムダだなと思うことを工夫して減らしてみてください。
たとえばキッチンから食卓に行って席についたら、スプーンなどを持ってくるのを忘れたことに気づいて、再びキッチンに戻る…そういうこと、よくありますよね。こういったムダは改善のチャンスです。
この場合はお箸やフォークなどをまとめたカラトリーセットを作って、それをテーブルに出せば、行ったり来たりする必要はなくなります。
家事をする目的は家族が笑顔で健康に過ごせること。完ペキさにこだわらず、いかにラクにできるようにするかを考えましょう。そうすれば、家族も参加しやすくなり、好循環が生まれますよ。家事の時短は、実験感覚で始めてみて
家事を時短したいけど、失敗が怖くてなかなか取り組めない人もいますよね。そんな人へ、本間さんが提案するのは実験感覚で挑戦してみることだそう。
もともと私は完ペキ主義だったんですが、「実験」って言葉を知人に教えてもらって、そこから家事を効率化してみるときも「実験、実験…」と頭の中で思っています。
高いお金を出して実験する…というのはさすがに大変ですが、人生において何もないよりいろいろな実験をしたほうが絶対楽しくなります。私は、生活にスパイスを与える感覚でいろいろな実験を楽しむようにしています。
洗濯物をたたまないという実験であれば、うまくいかなかったらもとに戻せばいいだけです。チャレンジしない手はありません。できるだけリスクの少ないものから始めて、慣れてきたら便利グッズを取り入れてみるなどしてみてはいかがでしょうか?
家事を時短するのは心理的なメリットもある
本間さんは、知的家事で家事を効率化するようになって、自分の時間が取れるようになりました。それと同時に、自尊心が高まって、自分自身が気持ちよく暮らすことにもつながったそうです。
やっぱり自分のやりたいことに時間を使えるようになったのがいちばんのメリットとは思うんですけど、自尊心が高められたというのも大きいです。
家事がたまっているのを見ると、「自分はだめな人間だな」と思うことが多かったんですよね。でも家事を効率よくできるようになってから、「私って要領いいじゃない!」と思えるようになって、自分をほめてあげられるようになりました。
おかげで以前より気持ちよく過ごせるようになったんです。
家事を時短するなら「知的家事」で効率化しよう
本間さんのお話を聞いていると、「ちゃんとやらないといけない」「自分がやらなくてはならない」と考えるのではなく、もっと気楽に考えて家事をしてもいいのではないかと思いました。
家事ができない・うまくいってないと言って落ち込んだり悩んだりしている方がいますが、私の好きな言葉で、うまくいかないときに「人を攻めるな仕組みを攻めろ」というものがあるんです。
あなたは今も十分頑張っているはず。あなたが悪いのではなくて、家事がしづらい環境だったり道具が使いづらいような仕組みだったりするのがいけないんです。
だから自分を責めないで「変えられることを変えていこう」「じゃあどうしたらいいんだろう」と環境や仕組みを変えていくことを頑張っていくといいと思います。
そこで知的家事などのアイデアを活用して、お茶を飲んだり睡眠を取ったりと、自分のことに使える時間を捻出してほしいと思います。
後編では、本間さんから教えてもらった具体的なアイデアをたくさん紹介します。
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