あれもやらなきゃ、これもやらなきゃで、毎日の家事に追われている…。やってもやっても終わらない家事に嫌気がさしてしまうことってありますよね。

そんなときは一度、家事をシンプルに見直してみませんか?

コジカジ編集部は、「不要なモノをもたない・不要な家事をやらない」ことで、ゆとりある暮らしを手にしたシンプルライフ研究家のマキさんにインタビュー。家事をシンプルにして、ラクになるための秘訣を伺いました。

モノを減らしたら家事がラクになった

マキさん キッチン風景
ーーマキさんが今のようなシンプルな暮らしを始められたきっかけを教えてください。

マキさん:
次女が生まれたときが転機でした。子供が1人のときは夫と2人で相手すればいいのでなんとかなっていました。でも、子供が増えると大人と子供が2対2になるじゃないかですか。夫も忙しいからいつも戦力になるわけじゃなくて、実質的に1.4対2だなと。この0.6の差をどうやって埋めるかってなったときに、家事を減らすしかないと。

それでどうしようかと考えていたときに、モノが少ないと掃除がすぐ終わることに気づいたんです。

もともと雑貨が好きで写真立てや置物を飾ってたんですが、そういうのがあると棚の上を拭くのが面倒。いちいち持ち上げて下を拭いて、それ自体も拭かなきゃいけません。でも、モノがなければ棚の上をなでるだけで掃除が終わる。なんてラクなんだって(笑)。

それでおうちのなかの必要なものを見直していったら、そもそも雑貨を置いていた棚すらも処分して(笑)。それにともなって家事にかける時間も減っていったんです。

ーーモノを減らすことで、家事自体がラクにできるようになったんですね。

マキさん:
そうなんです。モノを減らしてわかったんですが、家事でストレスを感じる原因ってモノがあるからだったりするんです。

たとえば、フライパンは何種類かもっているのが一般的ですよね。卵焼きを作るときはコレ、魚を焼くときはコレって食材にあわせて使い分けるじゃないですか。でも、それを毎回考えるのって、わずかですが時間とストレスがかかってるんです。

フライパンが1つしかなかったら「焼く=このフライパン」ってなるので道具選びで少しも頭を使いません。しかも洗い物が少ないので片付けのストレスも減ります。

それだけじゃなく、ミキサーのように便利な調理道具をもってると、かえって「ミキサーを使った料理もしなきゃ」って気持ちになりませんか?わざわざ手間のかかる調理方法を選んで家事を大変にしてたなと気づきました

家事はもっとシンプルでいい

マキさん 調理の写真
ーーたしかに、モノがあるせいで手間が増えている面もあるかもしれません。

マキさん:
昔の私もそうだったんですが、みんな家事を複雑に考えすぎていると思います。

料理でいえば、「このレシピを作るにはこの調味料が必要だ」とか「蒸すには蒸し器を使わないといけない」とか、「こういうときにはこれがないといけない」と思い込んじゃってる。本や雑誌、テレビなんかで得た情報から「他の人がこうやってるから、自分もこうしなきゃいけない」って思い込んで、つらいけど頑張ってそれ通りにやろうとしちゃうんです。自分の好きなことであれば頑張っていいんですが、苦しいと感じてまでやる必要はありません

私は家事全般が嫌いなので(笑)、嫌なことは無理せず手放すことにしました。私と同じような人は結構いると思うので、そういう人には手放していいんだよって伝える必要があると思っています。

ーー誰かのやり方に縛られず、家事をシンプルにするにはどうしたらいいのでしょうか?

マキさん:
「この家事は何のためにやってるのかな?」と、目的から考えてみてほしいです。

たとえばオムライスをつくろうと思ったら、「オムライスを作ること」が目的なのか、「卵の栄養を摂取して元気になること」が目的なのかで、やるべきことは違います。

オムライスは野菜を細かく切って卵をふんわり焼いてという工程が必要ですが、卵の栄養を取りたいのであれば卵かけご飯でいいじゃないですか。私は、手間ひまかけて調理するより、素材がいいものをシンプルに食べて健康になれたらそっちのほうがいいっていう考えなんです。

掃除でも「ピカピカに磨き上げる」ってことが目的になってたりしますが、「汚れてない状態で快適に暮らせるようにする」くらいが目的でいい。私は専用の道具を使ってまでピカピカにすることをやめたら、掃除自体が気楽になったし、生活で困ることも特にありませんでした。

目的を考えて手段にこだわらなければ、家事はもっとシンプルにできるんですよ。

【マキさん流】家事をシンプルにする方法

ここからは、マキさんが実践しているシンプルな家事を具体的に紹介していきます。おうちの家事を見直すヒントにしてみてください。

【掃除】床に置くモノを減らす

マキさん 掃除風景
マキさん:
床にモノがないと、考えている以上に掃除がすぐ終わります。もともとはソファやローテーブルがありましたが、子供が生まれてからはソファの上は洗濯物が山積みというもったいない状態で。処分したら掃除機をかけるのがラクになりました。

なんのために置いているのか?本当に必要か?という視点で見直してみると意外と必要ないものってでてくるんですよ。

【掃除】オールマイティな洗剤だけを使う

マキさん 2種類の洗剤
マキさん:
場所ごとで洗剤を使い分けるのをやめました。今は、主に粉石鹸とセスキ炭酸ソーダの2種類を使って掃除や洗濯をしてます。

泡立てて落としたい汚れは粉石鹸を使い、軽く水拭きしたいところはセスキ炭酸ソーダを溶かした「セスキ水」を吹きかけて拭きます。

汚れをみつけたときにどの洗剤を使おうかって考える必要がなくなり、「あの洗剤のストックを買い忘れた」なんていうストレスもなくなりました。

【掃除】掃除はピカピカに仕上げない

マキさん 掃除の様子
マキさん:
掃除はピカピカに仕上げなきゃと考えるのをやめました。ピカピカにしようと思うと専用の掃除道具が必要になりますが、汚れを拭き取れたらOKと考えれば軽く拭き掃除するだけで十分。

私は「掃除=リセットする」と考えて、使う前の状態に戻せればよしとしています。

【洗濯】洗濯は毎日するほうが悩まない

マキさん 洗濯の様子
マキさん:
洗濯は毎日やるようにしています。こうすることでムダな悩みがなくなりました。

昔は3日に1回しか洗濯してなかったんですが、そうすると今日洗濯の日だっけとか、下着がなくなっちゃうなーとか考えてました。毎日やると決めたら考えるストレスがゼロになりましたね。

毎日やるのは大変と思うかもしれませんが、1日分なら量が少ないので洗濯物を干す時間も短いし、洗濯自体が大変な作業ではなくなりますよ。

【洗濯】洗濯しやすいものを選ぶ

マキさん クローゼット内
マキさん:
タオルや衣類は、「洗濯のしやすさ」を考えて選んでいます。ハンガーにかけやすいかとか、乾きやすいかとか、洗濯ネットは必要ないかとか。

こうすると、洗濯前に衣類を分類しておく必要があるとか、取り込むときに厚手のものだけ乾いてないとか、ちょっとしたストレスがなくなります。

タオルはフワフワな素材がいいという人もいると思いますが、私はタオルは水滴を取るのが目的なのでフワフワである必要はありません。厚手で乾きが悪いものより、ガーゼのように吸水性があって乾きやすいものを選びます。

【収納】お気に入りを必要最低限にする

マキさん 靴の種類
マキさん:
衣類は必要最低限にすれば収納スペースが少なくてすみ、服を探す手間もなくなります。毎日着る服を考えるのも、ファッションが好きな人なら楽しい悩みですが、私はそんなに興味がないのでそこを省いています。

私が普段使いする服は、ワンピース・レギンス・靴下などのインナー類で1セット6〜7で、各2枚ずつの計14枚くらい。靴はつっかけサンダルとブーツとスニーカーの3種類を普段履きしてます。冠婚葬祭用などたまにしか履かない靴はクローゼットへ。これしかないの!?と驚かれますが、人が着れる服の量は限られていますから、これだけあれば私には十分です(笑)。

【収納】衣類はたたまない

マキさん 洗濯物のたたまない収納
マキさん:
衣類はハンガーにかけて収納していますが、引き出しにいれるときもたたみません。乾いたあと、ピンチから外して引き出しのなかにポイポイっと投げ入れるだけです。

服の量が多いときちんとたたんで入れないと収まらなくなるので、そもそも服の量が少なくて引き出しのなかがガラガラならたたまなくても問題ありません。

【収納】収納用品を増やさない

マキさん 収納スペースの引き出し
マキさん:
モノが増えてきたら収納用品を買い足してってしがちですが、収納スペースからあふれるようになったら適量になるまで減らします。

特に書類関係はほうっておくと増えて引き出しからあふやすいので、月1回くらいのペースで見直して不要になったものを処分します。

【収納】お気に入りの食器だけにする

マキさん 食器棚
マキさん:
食器は料理にあわせてあれこれ持つのをやめました。一番のお気に入りのものだけあればそれで十分。むしろ、なんとなく持っている食器を使うよりも自分のお気に入りを毎日使ったほうが生活の満足度は高まります。

あと、来客用の食器類も別で用意しません。以前は、来客用は持っておかなきゃと考えていたんですが、普段から来客用にもなるステキな食器を使っていれば、わざわざ来客用を用意しておく必要がないことに気づいたんです。

【料理】調理器具を増やさない

マキさん 調理器具
マキさん:
私はどう調理するかより、できあがったものをおいしく食べられるのが目的なので、どう調理されたかはどうでもいいんです。この調理器具を使ってどうするっていうのに興味がないんです。

だから、焼く用のフライパンを一つ、茹でる用の鍋を一つと、調理器具はシンプルに。何を使おうかと悩むこともなくなりました。包丁も食材によって変えず、切れ味のよい包丁1本だけで肉や魚、パンなんかも切っちゃいます。

【料理】複雑な調理はしない

マキさん 調理風景
マキさん:
調理自体もシンプルにして、オムライスとかチャーハンみたいなのは作りません。食べたいと思う食材を買って、焼く・茹でる・蒸すとシンプルな調理方法で調理します。

そもそも素材がいいものを使えばあんまり複雑な調理をしなくても十分おいしい。料理もむずかしく考えすぎだと思うんです。

「理想の暮らし」ではなく「心地いい状態」を増やしていく

マキさん インタビューカット
ーー最後に、家事をシンプルにしてみたいと考えている読者の方々にメッセージをお願いします。

マキさん:
これは伝えておきたいなというのが「家事を好きになる必要はない」ということです(笑)。

家事が嫌いな自分を認めてよくて、好きにならなきゃみたいな努力は必要ありません。家事は苦手なままでいいので、そう感じないように余計なモノを減らし、作業を省いていけばいいだけです。何を使おうかとか、次に何しようとか、家事をするときにムダに考えることなく手を動かせるようになれば、好きも嫌いも関係なく家事を終わらせられますから。

最初はできそうなことから真似してみるのもいいと思いますが、最終的に自分のやりやすさとかこうしたいっていう気持ちを優先していけば、自分なりのシンプルな家事が見つかると思います。

誰かと比べると「あんな暮らしにできたらいいな」って、外に理想像を求めてしまうんですけど、大切なのは「自分や家族が心地いいと思える状態」を手に入れることじゃないでしょうか。理想の暮らしを求めるより、自分や家族にとって心地いい状態をちょっとずつ増やしていければ、それが一番幸せなことなんじゃないかなって思います。